2025年12月27日土曜日

アナログの逆襲 ✳︎オーディオ




 1. 倍音とは何か(前提)

基音:音の高さを決める基本周波数

倍音:基音の整数倍(2倍、3倍…)の周波数成分

実際の楽器音や声は、基音+多数の倍音で構成される


倍音の構成比率が音色(ティンバー)を決定します。



2. アナログレコードで倍音が生まれる要因


 機械的トレースによる非線形性


レコードは

溝(物理形状) → スタイラス(針) → カンチレバー → 発電機構

という完全に機械的なプロセスを経ます。


この過程には必然的に:

微小な歪み

非線形な追従誤差

摩擦・弾性変形


が生じ、これが自然な倍音生成につながります。


👉 特に発生しやすいのは

偶数次倍音(2次・4次)



 カッティング時の倍音付加


マスターレコードのカッティング工程でも:

カッティングヘッドの非線形性

高域制限(溝の物理限界)

RIAAイコライゼーション


により、高次倍音のバランスが変化します。


その結果:

高域が耳に刺さらない

中低域が豊かに感じられる



 RIAAカーブと倍音の知覚


レコードでは:

録音時:低域を削り高域を強調

再生時:低域を持ち上げ高域を下げる


この処理により:

基音と低次倍音が強調され

高次倍音は穏やかになる


👉 **「滑らかで太い音」**と感じやすい



3. 偶数次倍音が「心地よい」理由


人間の聴覚心理として:

偶数次倍音 → 基音と協和

奇数次倍音 → 金属的・硬質・刺激的


アナログレコードでは:

偶数次倍音が多く

奇数次倍音が相対的に少ない


ため、


「温かい」「ナチュラル」「音楽的」


と評価されやすいのです。


(真空管アンプの音と似た傾向)



4. デジタル音源との対比


特性 アナログレコード デジタル音源

倍音生成 再生過程で自然発生 基本的に発生しない

歪み 低次・偶数中心 高次・量子化歪み

音の印象 温かい・厚い クリア・正確

非線形性 常に存在 理論上ほぼゼロ


※ 近年のデジタルは非常に高精度で、違いは主に好みの問題です。



5. 「レコードらしい倍音感」を左右する要素

カートリッジの種類(MM / MC)

針形状(丸針・楕円・ラインコンタクト)

トーンアームの質量と共振

ターンテーブルの回転安定性

フォノイコライザーの回路方式


👉 これらすべてが倍音バランスに影響します。



6. 少し踏み込んだ視点(非線形と音楽性)


アナログレコードの倍音は:

ランダムではなく

音楽信号に相関した非線形歪み


そのため:

音程感を壊さず

音楽的な厚みだけを加える


これは

非線形振動・カオス理論でいう「秩序ある歪み」

とも解釈できます。



まとめ


アナログレコードの倍音は、

機械的・物理的な非線形性から自然に生まれ

偶数次倍音が多く

人間の聴覚にとって心地よい


その結果として

🎵 「音楽的で温かい音」

が生まれるのです。




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アナログの逆襲 ✳︎オーディオ

  1. 倍音とは何か(前提) • 基音 :音の高さを決める基本周波数 • 倍音 :基音の整数倍(2倍、3倍…)の周波数成分 • 実際の楽器音や声は、基音+多数の倍音で構成される 倍音の構成比率が音色(ティンバー)を決定します。 ⸻ 2. アナログレコード...