2025年12月28日日曜日

アナログレコード 倍音はレコード特有の音の「温かさ」「厚み」「立体感」と深く関係





1. 倍音とは何か(前提)



  • 基音:音の高さを決める基本周波数
  • 倍音:基音の整数倍(2倍、3倍…)の周波数成分
  • 実際の楽器音や声は、基音+多数の倍音で構成される



倍音の構成比率が音色(ティンバー)を決定します。





2. アナログレコードで倍音が生まれる要因




① 機械的トレースによる非線形性



レコードは

溝(物理形状) → スタイラス(針) → カンチレバー → 発電機構

という完全に機械的なプロセスを経ます。


この過程には必然的に:


  • 微小な歪み
  • 非線形な追従誤差
  • 摩擦・弾性変形



が生じ、これが自然な倍音生成につながります。


👉 特に発生しやすいのは

偶数次倍音(2次・4次)





② カッティング時の倍音付加



マスターレコードのカッティング工程でも:


  • カッティングヘッドの非線形性
  • 高域制限(溝の物理限界)
  • RIAAイコライゼーション



により、高次倍音のバランスが変化します。


その結果:


  • 高域が耳に刺さらない
  • 中低域が豊かに感じられる






③ RIAAカーブと倍音の知覚



レコードでは:


  • 録音時:低域を削り高域を強調
  • 再生時:低域を持ち上げ高域を下げる



この処理により:


  • 基音と低次倍音が強調され
  • 高次倍音は穏やかになる



👉 **「滑らかで太い音」*と感じやすい





3. 偶数次倍音が「心地よい」理由



人間の聴覚心理として:


  • 偶数次倍音 → 基音と協和
  • 奇数次倍音 → 金属的・硬質・刺激的



アナログレコードでは:


  • 偶数次倍音が多く
  • 奇数次倍音が相対的に少ない



ため、


「温かい」「ナチュラル」「音楽的」


と評価されやすいのです。


(真空管アンプの音と似た傾向)





4. デジタル音源との対比


特性

アナログレコード

デジタル音源

倍音生成

再生過程で自然発生

基本的に発生しない

歪み

低次・偶数中心

高次・量子化歪み

音の印象

温かい・厚い

クリア・正確

非線形性

常に存在

理論上ほぼゼロ

5. 「レコードらしい倍音感」を左右する要素



  • カートリッジの種類(MM / MC)
  • 針形状(丸針・楕円・ラインコンタクト)
  • トーンアームの質量と共振
  • ターンテーブルの回転安定性
  • フォノイコライザーの回路方式



👉 これらすべてが倍音バランスに影響します。





6. 少し踏み込んだ視点(非線形と音楽性)



アナログレコードの倍音は:


  • ランダムではなく
  • 音楽信号に相関した非線形歪み



そのため:


  • 音程感を壊さず
  • 音楽的な厚みだけを加える



これは

非線形振動・カオス理論でいう「秩序ある歪み」

とも解釈できます。

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まとめ



アナログレコードの倍音は、


  • 機械的・物理的な非線形性から自然に生まれ
  • 偶数次倍音が多く
  • 人間の聴覚にとって心地よい



その結果として

🎵 「音楽的で温かい音」

が生まれるのです。




もしよければ次は


  • 「針形状と倍音の違い」
  • 「倍音と音場・立体感の関係」
  • 「真空管アンプとの共通点」



など、さらに深掘りできます。


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